営業社員のフォローが中心です。社内では「留守番」とも言われていました。営業は日中得意先に行っていることが多いので、取引先等から電話やメールで問い合わせが来れば対応します。聞かれることは見積依頼や納期確認、製品の仕様についてです。後は社内システムへの受注入力や出荷指示、小口現金管理、事務所内の掃除やお茶出し等も担当していました。

私が配属されたところは立川や八王子、山梨など西エリアを担当する部署でした。本社が50人程に対して、出張所は10人にも満たない小規模で、営業事務は私を入れて2名。本社のように業務を細分化するのは難しく、あらゆる業務を担当しなければなりませんでした。もちろん、慣れたらそこまで難しい業務ではありませんでしたが、私が担当していた営業社員は社内全体での成績がトップを占める2人で、プレッシャーに耐えきれなかったのが退職の原因です。
高卒で入社したため、社会人としての立ち回り方も不完全で叱られてばかりの毎日でした。取引先もキヤノンや東芝といった大手が多く、専門用語を覚えるだけでも精一杯。そもそも高校を出たばかりの自分が営業トップの人間を2人もフォローなどできるはずがありません。
しかし、私が入社した年は、そのトップ2の社員を担当していた先輩の退職が決まっていた年でもありました。出産による退職です。会社としては、本社から人を補充するより、高卒でまっさらな新人を一から育てたかったのだと思います。
もちろん、私自身もせっかく入社したのだから頑張りたい気持ちはありました。それでも二年目、三年目と経過しても、社会人として未熟であること、営業社員の威圧的な物言いやプレッシャーに耐え切れず、入社四年目を前にした年末に転職を決意しました。

「この業務だけは」と、限定するのは難しいのですが、今の自分ならもう少し上手に立ち回れそうな気がしています。そのため、見積依頼から納期確認、社内システムへの入力、小口現金管理など一通りの業務に挑戦してみたい気持ちがあります。

オフィスワークにトラウマのようなものを抱えてしまっていたので、営業や接客などに絞って転職活動をしていました。当時はまだインターネットよりも求人雑誌の方が強かったため、コンビニなどで気軽に手に入るタウンワークを使っていました。

冠婚葬祭業という特殊な事業に惹かれたからです。

互助会会員獲得の営業です。担当地域を振り分けられるので、パートさんと一緒に各家庭を訪問し、互助会のPRとプランのご提案などをします。また、実際に結婚式や葬儀会場で人手が足りない時は応援にも出ます。主に誘導や料理の提供といった雑務がメインです。後は、葬儀会館で定期的に見学会や相談会のイベントを開催するので、その際にも互助会のPRやプランのご提案を行います。会社と雇用契約を結ぶわけではなく、代理店システムとなるので、お給料は完全出来高制です。

入社前は、冠婚葬祭などのセレモニーに立ち会い、見積りやプランのご提案、司会進行といった仕事をイメージしていました。しかし、実際に入社してみると互助会の訪問営業で完全出来高となるので、月の契約件数が少ないと収入がほとんどありません。また、葬儀に力を入れている空気があるため、上層部からはハッキリと「死にそうな人間を勧誘してこい」「金持ちそうな家なら一番高いプランを勧めてこい」と言われます。

訪問営業ならではの契約獲得の難しさは今でも強く心に残っています。互助会＝葬儀に備えての積み立てとなるため、十中八九門前払いです。保険や健康食品等は、それらを必要としている人が一定数いますが、互助会に必要性を感じている人はほとんどいません。縁起が悪いからと水を掛けられたこともあります。「克服」とは少し違うと思いますが、感情を押し殺すことで、相手から冷たい対応をされても開き直れるようになりました。

互助会は友人や親せき、紹介での契約がほとんどで、次に多いのが実際に結婚式や葬儀で互助会を使った人の継続契約です。ただし、その方法だとすぐに新規契約が尽きてしまうので、訪問営業という方法もとっています。要は飛び込み営業となるため、即契約に結び付くことはまずありません。ただ稀に「印象が良い」「説明が分かりやすい」といった理由で、数日で獲得に繋がることがあります。私もそういった理由から獲得できた経験があり、その時だけはやりがいを感じることができました。

失敗だったと思います。

営業は営業でも反響営業のような仕事をイメージしていたので、訪問営業と分かったのは座学研修を終えた後でした。ただ、そんな中で「辞めます」とも言えず、どこかで転機が訪れるだろうと頑張ってみましたが、最後は職場の人間関係もこじれる形で退職となりました。

誰彼構わず人と話すのが好きな人には向いていると思います。葬儀に力を入れているため、特に高齢者の懐に入るのが上手な方は楽しみながら取り組めるのではないでしょうか。また、契約数さえ上げていれば、何をしても自由です。早く帰ってもOKですし、連休を取っても誰も文句は言いません。そのため、時間に縛られたくない方は、月の前半に数字を早々と上げて、後半はプライベートを楽しむといったやり方が可能です。

「代理店契約」という名前の仕事は自分には向いていないと分かりました。住友機材株式会社で勤務していたのはちょうど20年前、アルファクラブ武蔵野株式会社には17年前に在籍していた計算になります。その後はフリーター生活が長く、単身で関西に移住、結婚、パート勤務を経て、現在はフリーランスの在宅コピーライターという仕事に収まりました。対面で人と接するより、メールやチャットでやり取りをする方が安心します。言葉を選んで相手と会話できるからです。
ただ、これまでの経験は今の仕事に充分活かされているとも感じています。例えば営業事務はタイピングや資料作成に役立っていますし、営業は取引先との交渉やコミュニケーションに。フリーター経験も、何気ない時に「この時にこれを経験しておいて良かった」と振り返る自分がいます。月並みですが、これまでの経験があったからこそ今の自分がいる。転職で失敗した経験も学びのひとつだと思っています。