印刷会社営業マンが陥った板挟み！外注先との契約トラブルを解決する方法
印刷会社営業マンが陥った板挟み！外注先との契約トラブルを解決する方法
この記事では、印刷会社の営業職の方が直面している、外注先との契約に関する深刻なトラブルについて、具体的な解決策を提示します。特に、契約書や注文書がない状況下での受注拒否、未払い金の問題、そして会社（社長）との対立という、複雑な状況を打開するための法的知識と実践的なアドバイスを提供します。読者の皆様が抱える不安を解消し、より良いキャリアを築くための一助となることを目指します。
まず、今回の相談内容を整理し、問題の本質を明確にしましょう。
はじめまして。都内の小さな印刷会社で営業をやっている者です。
わたくしどもから見ての外注先（下請業者）さんに「最初の話からあまりに状況が変わってしまったのでお断りします」と言われてしまいました。
弊社、社長は「既に関わっているのだから続けさせろ」と言っており板挟みの状態なので質問しようと思いました。
どうぞお力お貸しくださいませ。
弊社は印刷業ですが、企画提案に力を入れていこうという事で企画提案の実績のあるデザイナーさん（３名のグループ）に依頼（外注）しました。
一ヶ月ほどかけて彼らに協力頂いた企画提案を、折込チラシなどを日頃発注してくださる某飲食チェーンさん（クライアント）に持込、提案させてもらったところ概ね喜んで頂き制作実施する方向で決まりました。
提案内容を制作して頂くのと平行して見積も出しても頂いてはいたのですが、彼らの出した見積額（デザイン料）は、印刷部数で利益を上げる弊社にとっては想像以上に高額でしたため交渉した上で大幅に減額（見積額の半額くらいまで）してもらいました。この時点でかなり申し訳ない思いだったのですが…
そしていざ制作実施に入ろうという段階ですが弊社社長から「外注に何故こんな高い金を払うんだ？」と咎められさらには既にクライアントにも納得して頂いている企画提案内容（サンプル）を見て一部の箇所を示し「この部分が気にいらないからこの部分の金額を削れ」と言ってきました。
これは単純に弊社が外注先さんに支払う金額を削って自社の利益に回したいというだけだと情けないですがそう理解しています。
悩んだ上で、外注先のデザイナーグループに相談したところ３人の内の１人の方が「それなら抜ける」おっしゃり、他の２人もそれに同調しようという空気になったのですが「今から抜けられても◯◯さん（←私）が困るでしょうから２人でやりますよ」と言ってくださいました。
とにかく申し訳なく情けない気持ちで社に戻り、減額したという事を社長に告げると社長は「（一人抜けるなら）これじゃ手を抜くと言われてるようなもんだ。全体の見積から１０％さらに引け」と言われました。
「既に最初から大幅に減額してもらっている上にさすがにそこまでは…断られてしまいます」と言ったのですが社長は「向こう（デザイナーら）の力不足なんだから向こうに責任がある。最後までやる責任があるはずだ。今さら辞めるというなら訴えると言えばいい」と言う始末。
わたしは連休が明けましたら会社を辞めようと決めましたがよくしてくださったそのデザイナーさんらにこれ以上のご迷惑をかけないためにも弊社社長の暴挙を諦めさせてからだと考えています。
経緯が長くなりましてすみません。
質問したい内容としましては
①「基本契約書も注文書も交わしていないデザイナーさんらはこの状況で依頼を断る事は法的に可能でしょうか？」
メール等の記録を振り返ると、デザイナーさんらの示してきた金額や項目、説明は法的に正しいかどうかは別としても、とても具体的でありますが弊社からは注文内容や取り決めについて具体的にはほとんど何も伝えていません。
②「まだ制作実施には至っていませんが、企画提案をし、クライアントに納得して頂くまでに要した作業に対する対価はお支払いすべきでしょうか？」
（社長は「途中で辞めるならそれすら払う義務はない」と言います）
③「総合的にみて弊社（社長）は法的な手段に出る事ができるでしょうか？」
（明らかに弊社が不利であれば社長も諦めると思います）
わたしとしてはデザイナーさんらにこれ以上の迷惑をかけないよう社長を説得（諦めさせ）し、デザイナーさんらにも説明をさせて頂き道筋を立てた上で職を辞すべきと考えています。
どうぞお知恵をお貸し頂けますようおねがいいたします。
補足お二方ありがとうございます。
お二方への補足ともなるかと思いますが弊社にも一応のデザイナーがいまして社長の考えとしては外部デザイナーがこれまでに提案した内容を弊社デザイナーで適当に形にすればいいと考えているようです。（著作権の問題はしらを切るつもりだと思います）
ですからクライアントに対しての体裁は取り繕うだろうと思います。
しかし、外部デザイナーに対してはその作業を強いられたなどと被害を受けたように言うのではないか？と心配しています。
契約書・注文書も交わしておらず、条件に何度も変更を強いているのは弊社であり外部デザイナーさんらが受注を拒否する事はできるものだと思いますが、それによって損害賠償を求められる理由となってしまう事もあるでしょうか？
わたしとしては社に籍のある間に「いかに弊社が不利であるか」を社長に伝えて訴訟といった手段に出ないようしたいとおもうのです。
よろしくおねがいいたします。
1. 契約の法的側面：受注拒否は可能か？
まず、最も重要な問題である、デザイナーがこの状況で依頼を断ることができるのか、という点について解説します。結論から言うと、契約書や注文書がない状況下では、デザイナーは依頼を断る可能性が高いです。
これは、民法における契約の原則に基づいています。契約は、口頭でも成立しますが、具体的な内容が曖昧な場合、その効力や履行義務が争われる可能性があります。今回のケースでは、具体的な注文内容や金額、納期などが明確に合意されていないため、デザイナー側は、契約不履行を問われるリスクは低いと考えられます。
- 契約の成立要件: 契約は、当事者の合意によって成立します。しかし、合意の内容が不明確な場合、その契約の有効性が問題となります。
- 契約内容の不明確さ: 今回のケースでは、見積額の減額、デザインの修正要求など、契約内容が二転三転しており、最終的な合意内容が不明確です。
- 信義則: 契約は、誠実に行われるべきです。一方的な条件変更や、相手方に不利益を与える行為は、信義則に反する可能性があります。
ただし、デザイナーが過去に提案を行い、クライアントに承認を得るという一定の成果を上げているため、その対価については、交渉の余地があります。この点については、後述します。
2. 費用の支払い義務：企画提案に対する対価は？
次に、企画提案に対する対価の支払い義務についてです。社長は「途中で辞めるならそれすら払う義務はない」と言っていますが、これは法的に正しいとは限りません。
デザイナーが企画提案を行い、クライアントに承認を得るという成果を上げた場合、その対価を支払う義務が生じる可能性があります。これは、民法上の「委任契約」または「準委任契約」に該当する可能性があります。
- 委任契約/準委任契約: 委任契約は、法律行為を、準委任契約は、法律行為以外の事務処理を、相手に委託する契約です。今回のケースでは、企画提案という事務処理を委託したと解釈できます。
- 成果に対する対価: 委任契約/準委任契約では、成果の有無に関わらず、委託者は受託者に対して報酬を支払う義務を負います。ただし、今回のケースでは、成果（クライアントの承認）を得ているため、報酬を支払うべき可能性が高いです。
- 減額交渉の影響: 見積額の減額交渉は、契約内容の変更を意味します。しかし、デザイナーが既に一定の作業を行い、クライアントの承認を得ている場合、減額交渉に応じたとしても、その分の対価を支払うべきです。
したがって、社長の主張は法的に正当とは言えず、デザイナーに対して、企画提案に対する対価を支払う義務があると考えられます。交渉の際には、この点を明確に伝えるべきです。
3. 会社（社長）の法的手段の可能性：訴訟リスクは？
最後に、会社（社長）が法的手段に出ることができるのか、つまり訴訟を起こすことができるのか、という点について検討します。結論から言うと、会社が訴訟を起こしても、勝訴する可能性は低いです。
その理由は、以下の通りです。
- 契約内容の不明確さ: 契約書や注文書がないため、契約内容が曖昧であり、会社が主張する権利（例えば、デザインの完成義務など）を立証することが困難です。
- 一方的な条件変更: 会社側が、一方的に見積額の減額やデザインの修正を要求しており、デザイナーに不利益を与えています。これは、信義則に反する行為であり、裁判で不利に働く可能性があります。
- 著作権の問題: 社長が、外部デザイナーの提案を自社デザイナーで流用しようとしている場合、著作権侵害となる可能性があります。
- 損害賠償の根拠の欠如: 会社が損害賠償を請求するためには、損害の発生と、その損害がデザイナーの行為によって生じたことを証明する必要があります。しかし、今回のケースでは、損害の発生を証明することが難しく、また、デザイナーの行為と損害との因果関係を立証することも困難です。
これらの理由から、会社が訴訟を起こしても、勝訴する可能性は低いと考えられます。むしろ、会社側が、デザイナーから訴えられるリスクを考慮する必要があります。
4. 営業担当者（あなた）が取るべき行動：問題解決への道筋
今回の問題は、法的側面だけでなく、人間関係や会社の経営方針など、複合的な要因が絡み合っています。営業担当者であるあなたが、この問題を解決するために、以下のステップで行動することをお勧めします。
- 社長との対話: まずは、社長と冷静に話し合い、今回の問題の深刻さを理解してもらう必要があります。
- 法的リスクの説明: 訴訟になった場合の会社の不利な点を、客観的なデータや法的根拠に基づいて説明します。
- 会社の評判への影響: デザイナーとのトラブルが、会社の評判を損なう可能性があることを伝えます。
- 今後のビジネスへの影響: 優秀なデザイナーとの関係を失うことが、今後のビジネスに悪影響を与えることを説明します。
- デザイナーとの交渉: デザイナーに対して、これまでの経緯と、会社の状況を説明し、理解を求めます。
- 誠意ある謝罪: デザイナーに迷惑をかけたことに対して、誠意をもって謝罪します。
- 未払い金の支払い: 企画提案に対する対価を、誠意をもって支払うことを提案します。
- 今後の協力関係: 今後の協力関係を継続するための、建設的な提案を行います。
- 弁護士への相談: 必要に応じて、弁護士に相談し、法的アドバイスを受けます。
- 契約書の作成: 今後の取引のために、適切な契約書を作成します。
- 交渉の代行: 弁護士に、社長との交渉や、デザイナーとの交渉を代行してもらうことも可能です。
- 退職後の準備: 最終的に、会社を辞めることを決めた場合、退職後の準備をしっかりと行います。
- 転職活動: 転職活動を始め、次のキャリアプランを立てます。
- 退職の手続き: 会社との退職に関する手続きを、円滑に進めます。
これらのステップを踏むことで、今回の問題を解決し、あなた自身のキャリアを守ることができます。
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5. 成功事例から学ぶ：契約トラブル解決のヒント
最後に、過去の成功事例から、今回の問題解決のヒントを探ってみましょう。
- 事例1：口頭契約の有効性: ある印刷会社が、口頭で発注したデザイン案件について、納品後にデザインの修正を要求し、デザイナーとの間でトラブルになりました。しかし、裁判では、デザイナーが過去に同様の案件で実績があり、そのデザインのクオリティが認められたため、口頭契約の有効性が認められ、印刷会社はデザイン料を支払うことになりました。
- 教訓: 口頭契約であっても、過去の実績や、デザインのクオリティが認められれば、契約の有効性が認められる可能性があります。
- 事例2：契約書作成の重要性: ある広告代理店が、契約書を作成せずに、フリーランスのデザイナーにロゴ制作を依頼しました。納品後、デザインの著作権を巡ってトラブルになり、裁判になりました。結果、契約書がないため、著作権の帰属が曖昧になり、広告代理店は不利な状況に追い込まれました。
- 教訓: 契約書を作成することで、権利関係を明確にし、トラブルを未然に防ぐことができます。
- 事例3：弁護士の活用: あるIT企業が、外注先のプログラマーとの間で、納品物の品質を巡ってトラブルになりました。IT企業は、弁護士に相談し、契約内容の確認や、交渉の代行を依頼しました。その結果、円満に解決することができ、訴訟を回避することができました。
- 教訓: 弁護士に相談することで、法的リスクを回避し、円満な解決を図ることができます。
これらの成功事例から、以下の点が重要であることがわかります。
- 契約内容の明確化: 契約書を作成し、契約内容を明確にすることが重要です。
- 証拠の収集: メールやチャットの記録など、証拠を収集しておくことが重要です。
- 専門家への相談: 弁護士や専門家に相談し、法的アドバイスを受けることが重要です。
- 誠意ある対応: 相手に対して、誠意ある対応をすることが重要です。
6. まとめ：未来への一歩を踏み出すために
今回の問題は、法的知識だけでなく、コミュニケーション能力や、問題解決能力が求められる、複雑な状況です。しかし、適切な対応をとることで、問題を解決し、あなた自身のキャリアを守ることができます。
まず、社長との対話を通じて、現状の深刻さを理解してもらい、法的リスクを回避するための行動をとることが重要です。次に、デザイナーとの交渉を通じて、未払い金の支払いなど、誠意ある対応を示すことで、関係修復の可能性を探ります。必要に応じて、弁護士に相談し、法的アドバイスを受けることも検討しましょう。そして、最終的に、あなた自身のキャリアプランを考慮し、退職という選択肢も含めて、最善の道を選びましょう。
この経験を活かし、今後のキャリアで、同様の問題に直面した場合でも、冷静かつ的確に対応できるよう、自己研鑽を重ねてください。そして、あなたのキャリアが、より良いものとなることを心から願っています。
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