CV分析で業績アップ！販売価格改定と固定費削減戦略

CV分析で業績アップ！販売価格改定と固定費削減戦略

この記事では、製造業におけるコスト・ボリューム・プロフィット（CVP）分析を用いて、競争が激化する市場において、どのように利益を維持するかを解説します。具体的には、販売価格の値下げによる影響と、固定費削減による利益確保の方法を、工業簿記2級レベルの問題を解きながら、実践的に学んでいきます。 特に、現状維持に固執せず、変化に対応するための戦略立案について、詳細に説明します。 経営戦略、コスト管理、そして数字に基づいた意思決定に悩む、製造業で働く方、または将来製造業で働くことを目指す方を対象としています。

問題1：販売価格を20％下げた場合の目標販売数量

まず、当期の損益計算書を作成し、各要素を把握しましょう。

• 売上高：2,000円 × 7,500個 = 15,000,000円
• 変動原価：1,000円 × 7,500個 = 7,500,000円
• 変動販売費：100円 × 7,500個 = 750,000円
• 固定製造原価：3,200,000円
• 固定販売費・一般管理費：1,300,000円
• 総原価：7,500,000円 + 750,000円 + 3,200,000円 + 1,300,000円 = 12,750,000円
• 営業利益：15,000,000円 – 12,750,000円 = 2,250,000円

販売価格を20％下げると、新しい販売価格は2,000円 × (1 – 0.2) = 1,600円となります。 目標営業利益は2,250,000円を維持したいので、以下の式を立てます。

目標営業利益 = (販売価格 × 販売数量) – (変動原価 × 販売数量) – 固定費

2,250,000 = (1,600x) – (1,100x) – 4,500,000

ここで、xは販売数量を表します。この式を解くと、

500x = 6,750,000

x = 13,500個

となります。つまり、販売価格を20％下げて当期と同額の営業利益を達成するには、13,500個の販売数量が必要となります。

問題2：販売数量13,000個の場合の固定費削減額

販売部門責任者の意見によると、販売数量は13,000個が限界です。この場合、売上高は1,600円 × 13,000個 = 20,800,000円となります。 変動費は1,100円 × 13,000個 = 14,300,000円です。

目標営業利益を達成するための固定費は以下の式で求められます。

固定費 = (販売価格 × 販売数量) – (変動原価 × 販売数量) – 目標営業利益

固定費 = 20,800,000 – 14,300,000 – 2,250,000 = 4,250,000円

現在の固定費は4,500,000円なので、削減すべき固定費は4,500,000円 – 4,250,000円 = 250,000円となります。

具体的な固定費削減策

250,000円の固定費削減は、容易ではありませんが、以下の様な対策が考えられます。

• 製造工程の効率化：生産ラインの見直し、省人化技術の導入などにより、固定製造原価を削減します。
• 販売管理費の見直し：広告宣伝費、人件費、オフィス賃料などの見直しを行い、無駄を省きます。 特に、デジタルマーケティングの活用は効果的です。
• 一般管理費の削減：会議システムの見直し、ペーパーレス化、ITツール導入による業務効率化などを通して削減を目指します。
• アウトソーシング：一部業務を外部委託することで、人件費や設備投資コストを削減できます。

これらの対策は、単独で行うよりも、複数を組み合わせることで、より大きな効果が期待できます。 また、それぞれの対策の効果を数値で検証し、PDCAサイクルを回すことが重要です。

結論

CVP分析は、企業の収益性を分析し、戦略を立てる上で非常に有効なツールです。 販売価格の変更や固定費の削減といった意思決定を、データに基づいて行うことで、不確実な市場環境の中でも、安定した利益を確保することが可能になります。 この記事で紹介した方法を参考に、自社の状況に合わせて最適な戦略を策定し、事業の成長を目指しましょう。 ただし、複雑な状況や、より詳細な分析が必要な場合は、専門家への相談も検討することをお勧めします。

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