損益計算書を読み解く！３つの利益（営業利益・経常利益・純利益）を徹底解説
損益計算書を読み解く！３つの利益（営業利益・経常利益・純利益）を徹底解説
損益計算書は、企業の経営成績を評価する上で欠かせない重要な財務諸表です。特に、営業利益、経常利益、純利益といった複数の利益項目が存在することは、初心者の方にとって混乱を招く原因となるかもしれません。しかし、それぞれの利益は異なる側面を捉えており、企業分析において非常に役立つ情報源となります。本記事では、転職コンサルタントの視点から、これらの利益の違いと、それぞれの活用方法を分かりやすく解説します。企業分析、財務分析、経営分析といったキーワードにも関連する内容です。
結論：目的別に使い分けよう！３つの利益の役割
結論から言うと、損益計算書に記載されている営業利益、経常利益、純利益は、それぞれ企業の異なる側面を表しています。企業の「本業の収益力」を見るには営業利益、「本業以外の収益力も含めた経営の安定性」を見るには経常利益、「最終的な利益」を見るには純利益がそれぞれ有効です。どの利益を見るかは、分析の目的によって使い分ける必要があります。
例えば、企業の成長性や持続可能性を評価したい場合は、営業利益の推移や構成要素を分析することが重要です。一方、投資判断を行う際には、純利益に着目し、配当や内部留保に充当できる資金力を評価する必要があります。このように、それぞれの利益には明確な役割があり、それらを理解することで、より精度の高い企業分析が可能になります。
１．営業利益：企業の本業の収益力を測る指標
営業利益は、企業の本業による収益力を示す最も重要な指標です。売上高から売上原価と販売費及び一般管理費を差し引いて算出されます。具体的には、以下の式で表されます。
営業利益 ＝ 売上高 － 売上原価 － 販売費及び一般管理費
営業利益は、企業の製品やサービスの競争力、価格設定、販売戦略などを反映した指標です。そのため、営業利益の推移を分析することで、企業の本業の成長性や収益性を評価することができます。例えば、営業利益が右肩上がりであれば、企業の本業が順調に成長していることを示唆します。逆に、営業利益が減少傾向にある場合は、競争激化やコスト増加などの問題を抱えている可能性があります。
営業利益に着目する際のポイント：
- 売上高に対する営業利益の割合（営業利益率）も合わせて確認する。
- 営業利益の構成要素（売上原価、販売費及び一般管理費）を詳細に分析する。
- 競合他社の営業利益と比較分析を行う。
２．経常利益：本業以外の収益力も含めた経営の安定性を測る指標
経常利益は、営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を差し引いて算出されます。営業外収益とは、本業以外の活動から得られる収益（例：受取利息、受取配当金など）であり、営業外費用とは、本業以外の活動に伴う費用（例：支払利息、減損損失など）です。
経常利益 ＝ 営業利益 ＋ 営業外収益 － 営業外費用
経常利益は、企業の本業だけでなく、その他の活動を含めた総合的な収益力を示す指標です。そのため、企業の経営の安定性や持続可能性を評価する際に重要な指標となります。例えば、経常利益が安定して増加している企業は、本業だけでなく、その他の活動からも安定した収益を確保できていると考えられます。
経常利益に着目する際のポイント：
- 営業外収益と営業外費用の内訳を確認し、その規模や内容を分析する。
- 営業利益と経常利益の差額に着目し、営業外収益・費用の影響を評価する。
- 経常利益の推移を分析し、その安定性を評価する。
３．純利益：最終的な利益、企業の収益力の最終的な指標
純利益は、経常利益から法人税、住民税などの税金費用や、特別損失などを差し引いた後の最終的な利益です。これは、株主や投資家に帰属する利益であり、企業の収益力の最終的な指標と言えます。
純利益 ＝ 経常利益 － 法人税等 － その他の費用
純利益は、企業の収益性や成長性を評価する上で最も重要な指標の一つです。純利益の推移を分析することで、企業の収益力の変化や将来性を予測することができます。また、純利益は配当や内部留保に充当されるため、投資判断を行う上でも重要な指標となります。純利益が多いということは、それだけ企業が利益を上げている、つまり、企業価値が高いことを示唆します。
純利益に着目する際のポイント：
- 純利益の推移を分析し、その成長性を評価する。
- 純利益の構成要素を詳細に分析する。
- 売上高に対する純利益の割合（純利益率）も合わせて確認する。
- 配当性向や内部留保率と合わせて分析する。
ケーススタディ：A社とB社の比較
例えば、A社とB社の損益計算書を比較してみましょう。A社は営業利益率が高く、本業の収益力が強い一方、営業外費用が大きいため経常利益は低くなっています。一方、B社は営業利益率は低いものの、営業外収益が大きいため経常利益は高くなっています。この比較から、A社は本業に強みを持ち、B社は本業以外の活動からも収益を上げていることが分かります。どちらの企業が良いか判断するには、企業の事業戦略や将来展望なども考慮する必要があります。
専門家の視点：転職コンサルタントからのアドバイス
転職活動においても、企業の財務状況を分析する能力は非常に重要です。企業の成長性や安定性を判断し、将来性のある企業を選ぶためには、損益計算書を理解し、営業利益、経常利益、純利益を適切に活用する必要があります。企業の採用担当者との面接においても、これらの指標について質問することで、企業への理解度を示すことができます。さらに、企業の財務状況を分析する能力は、ビジネスパーソンとして必須のスキルです。日頃から財務諸表に触れ、分析する習慣を身につけましょう。
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まとめ：目的を明確にして、適切な利益指標を活用しよう
損益計算書に記載されている営業利益、経常利益、純利益は、それぞれ企業の異なる側面を表す重要な指標です。企業分析の目的を明確にし、それぞれの利益の特徴を理解することで、より精度の高い分析が可能になります。 企業の成長性や収益性を評価したい場合は営業利益、経営の安定性を評価したい場合は経常利益、最終的な収益力を評価したい場合は純利益に着目しましょう。それぞれの指標を総合的に判断することで、企業の真の実力を見極めることができます。 本記事が、皆様の企業分析の一助となれば幸いです。