後遺障害診断書でつまづく？他覚所見、障害内容、そして診断書作成のポイントを徹底解説！
後遺障害診断書でつまづく？他覚所見、障害内容、そして診断書作成のポイントを徹底解説！
後遺障害の認定において、診断書は非常に重要な役割を果たします。特に「他覚的所見」の記載の有無や、「既存障害」「障害内容の増悪・緩解の見通し」といった項目の記述の正確性は、認定結果に大きく影響します。今回は、これらのポイントを詳しく解説し、あなたの疑問を解消します。
１．後遺障害診断書における「他覚的所見」とは？
「他覚的所見」とは、医師が患者さんの身体を直接診察したり、検査結果を客観的に観察したりすることで得られる所見のことです。つまり、患者さんの自覚症状（主観的な訴え）ではなく、医師が客観的に確認できる事実を指します。具体的には、以下の様なものが挙げられます。
- 視診： 患部の腫れ、変形、色調の変化、傷跡など
- 触診： 患部の圧痛、硬結、温度変化など
- 打診： 患部の打診音の変化など
- 聴診： 呼吸音、心音、血管雑音など
- 画像検査（レントゲン、MRI、CTなど）： 骨折、脱臼、内臓損傷、神経損傷などの画像所見
- 神経学的検査： 筋力低下、知覚障害、反射異常など
- 血液検査、尿検査などの結果： 炎症反応、臓器機能障害など
あなたのケースでは、最初のクリニックの診断書に他覚的所見が記載されておらず、検査結果のみ記載されているとのこと。これは、不十分と言えます。後遺障害認定においては、検査結果だけでなく、医師が客観的に観察した所見も重要視されます。他覚的所見が記載されていないと、症状の客観的な裏付けが弱くなり、認定が難しくなる可能性があります。
２．「既存障害、障害内容の増悪・緩解の見通し」欄について
「既存障害、障害内容の増悪・緩解の見通し」欄には、事故以前から存在する疾患（既存障害）の有無とその影響、現在の障害の状態、そして今後の回復の見込みについて記述する必要があります。この欄が「不明」と記載されているのは問題です。明確に記載する必要があります。
例えば、「既存障害なし」「現在の障害は…（具体的な症状と他覚的所見）」「増悪の見込みは低いと考える。緩解の見込みは…（具体的な期間や程度）」といったように、具体的な記述が必要です。曖昧な表現は避け、医師に正確な情報を伝えるよう依頼しましょう。
３．総合病院の診断書と比較検討
2つ目の総合病院の診断書では、他覚症状が記載され、脊柱の障害に異常が記載されているとのこと。これは、最初のクリニックの診断書よりもはるかに信頼性が高いと言えます。総合病院の医師は、より詳細な検査を行い、客観的な所見を記載している可能性が高いからです。
しかし、それでも、診断書に記載されている情報が不十分であれば、医師に補足説明を依頼する必要があります。必要であれば、追加の検査を受けることも検討しましょう。
４．具体的なアドバイス：より良い診断書を得るために
より正確で詳細な後遺障害診断書を作成してもらうためには、以下の点を心がけましょう。
- 信頼できる医師を選ぶ： 後遺障害認定に詳しい医師を選びましょう。専門医や、多くの後遺障害認定の経験を持つ医師がおすすめです。
- 詳細な病歴を伝える： 事故の状況、事故後の経過、症状の変化などを詳細に伝えましょう。写真や動画などの証拠があれば提示すると効果的です。
- 必要な検査を受ける： 医師の指示に従い、必要な検査をすべて受けましょう。検査結果を診断書に反映させることが重要です。
- 診断書の内容を確認する： 診断書を受け取ったら、内容を丁寧に確認しましょう。不明な点があれば、医師に質問し、修正を依頼しましょう。
- 専門家のサポートを受ける： 必要であれば、弁護士や社会保険労務士などの専門家のサポートを受けましょう。彼らは、後遺障害認定のプロセスに精通しており、的確なアドバイスをしてくれます。
５．成功事例：専門家のサポートによるスムーズな認定
以前、当事務所では、交通事故で頸椎損傷を負われたクライアントを支援した経験があります。最初の診断書では、他覚的所見が不十分で、認定が難しい状況でした。しかし、当事務所の弁護士が医師と綿密に連携し、追加検査を行い、詳細な他覚的所見を記載した診断書を作成することで、スムーズに後遺障害認定を受けることができました。
６．専門家からの視点：診断書作成における注意点
後遺障害診断書の作成においては、客観的な事実を正確に記載することが最も重要です。主観的な意見や推測は避け、医師の専門的な知識に基づいた記述を心がけるべきです。また、診断書は、後遺障害認定機関だけでなく、裁判などでも証拠として使用される可能性があるため、法的にも問題のないように作成する必要があります。
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７．まとめ
後遺障害診断書において、「他覚的所見」の記載は非常に重要です。検査結果だけでなく、医師が客観的に観察した所見を詳細に記載してもらうことで、認定がスムーズに進みます。「既存障害、障害内容の増悪・緩解の見通し」についても、曖昧な表現を避け、具体的な記述を心がけましょう。不明な点があれば、医師に積極的に質問し、修正を依頼することが大切です。必要に応じて、弁護士や社会保険労務士などの専門家のサポートを受けることも検討しましょう。適切な対応によって、より良い結果を得られる可能性が高まります。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的アドバイスではありません。後遺障害認定に関する具体的なご相談は、専門家にご相談ください。