営業車の残価設定（残クレ）購入における経理処理を徹底解説！

営業車の残価設定（残クレ）購入における経理処理を徹底解説！

この記事では、営業車を残価設定型ローン（残クレ）で購入した場合の経理処理について、具体的な事例を交えながら詳しく解説します。特に、200万円の新車を5年の均等払いで購入する場合を想定し、経理処理の基礎から、減価償却、税務上の注意点まで、網羅的に説明します。営業車の購入は、多くの企業にとって重要な意思決定であり、適切な会計処理は企業の財務状況を正確に把握し、税務リスクを回避するために不可欠です。この記事を通じて、残クレの仕組みを理解し、正しい経理処理を行うための知識を身につけましょう。

残価設定型ローン（残クレ）とは？

残価設定型ローン（残クレ）とは、車の購入時に、将来の車の売却価格（残価）をあらかじめ設定し、その残価を除いた金額を分割払いするローンのことです。月々の支払額を抑えることができるというメリットがある一方で、契約期間終了時には、

• 車を返却する
• 再ローンを組んで乗り続ける
• 残価を支払って買い取る

のいずれかの選択肢を選ぶことになります。この柔軟性が、残クレの大きな特徴です。

残クレの経理処理の基本

残クレによる営業車の購入は、通常のローン購入とは異なる会計処理が必要になります。ここでは、200万円の新車を5年の均等払い（残価設定あり）で購入した場合の経理処理の基本を解説します。

1. 取得時の処理

営業車を取得した時点では、車両本体価格を資産として計上します。この場合、残価は考慮せず、車両の取得価額全額を「車両運搬具」などの勘定科目で計上します。

例：200万円の新車を購入した場合

勘定科目	金額	摘要
車両運搬具	2,000,000円	新車購入
未払金	2,000,000円	ローン債務

2. 減価償却

営業車は、減価償却の対象となります。減価償却の方法には、定額法と定率法がありますが、一般的には定額法が用いられます。減価償却費は、車両の取得価額を耐用年数で割って計算します。営業車の耐用年数は、通常、自動車の種類によって異なりますが、普通自動車の場合は6年です。

例：200万円の新車を定額法で減価償却する場合（耐用年数6年）

減価償却費 = 2,000,000円 ÷ 6年 = 333,333円/年

月々の減価償却費 = 333,333円 ÷ 12ヶ月 = 27,777円/月

減価償却費の仕訳は以下のようになります。

勘定科目	金額	摘要
減価償却費	27,777円	当月分減価償却費
車両運搬具	27,777円	当月分減価償却累計額

3. ローン支払いの処理

毎月のローン支払いは、元金部分と利息部分に分けて処理します。元金部分は、未払金の減少として処理し、利息部分は、支払利息として費用計上します。

例：月々のローン支払いが40,000円、うち利息が5,000円の場合

勘定科目	金額	摘要
未払金	35,000円	ローン元金返済
支払利息	5,000円	ローン利息
普通預金	40,000円	ローン支払い

4. 決算時の処理

決算時には、減価償却費を計上し、未払金の残高を確認します。また、未払利息が発生している場合は、未払利息を計上します。

残クレ満了時の会計処理

残クレの契約期間が満了した際の会計処理は、選択したオプションによって異なります。

1. 車を返却する場合

車を返却する場合は、車両運搬具の帳簿価額をゼロにし、未払金の残高を消滅させます。この際、残価と帳簿価額に差額が生じる場合は、その差額を損益として処理します。

例：車両の帳簿価額が50万円、残価が50万円で返却した場合

勘定科目	金額	摘要
車両運搬具	500,000円	車両返却
未払金	500,000円	ローン債務消滅

例：車両の帳簿価額が50万円、残価が60万円で返却した場合（10万円の損失が発生）

勘定科目	金額	摘要
固定資産除却損	100,000円	車両返却による損失
車両運搬具	500,000円	車両返却
未払金	600,000円	ローン債務消滅

2. 再ローンを組んで乗り続ける場合

再ローンを組んで乗り続ける場合は、残価を新たなローンとして計上します。車両運搬具の帳簿価額は、減価償却を通じて調整されます。

例：残価50万円を再ローンした場合

勘定科目	金額	摘要
未払金	500,000円	残価の再ローン

3. 残価を支払って買い取る場合

残価を支払って買い取る場合は、残価を車両運搬具の取得価額に加算します。この場合も、減価償却を通じて処理します。

例：残価50万円を支払って買い取った場合

勘定科目	金額	摘要
車両運搬具	500,000円	残価支払い
普通預金	500,000円	残価支払い

税務上の注意点

残クレによる営業車の購入は、税務上もいくつかの注意点があります。

1. 減価償却費の計算

減価償却費は、税務上の経費として計上できます。ただし、減価償却の方法や耐用年数は、税法で定められたルールに従う必要があります。また、事業に使用する割合（事業供用割合）に応じて、減価償却費を按分する必要があります。

2. 支払利息の取り扱い

支払利息は、税務上の経費として計上できます。ただし、利息制限法を超える利息は、経費として認められない場合があります。

3. 消費税の取り扱い

営業車の購入にかかる消費税は、原則として仕入税額控除の対象となります。ただし、課税事業者であること、かつ、事業に関連するものであることが条件となります。

4. リース取引との比較

残クレは、リース取引と似た側面がありますが、会計処理や税務上の取り扱いは異なります。リース取引の場合、リース料は賃借料として経費計上しますが、残クレの場合は、減価償却費と支払利息に分けて処理します。

残クレのメリット・デメリット

残クレには、以下のようなメリットとデメリットがあります。これらの点を考慮して、自社の状況に合った選択をすることが重要です。

メリット

• 月々の支払額を抑えられる
• 契約期間終了時に、柔軟な選択肢がある
• 最新のモデルに乗り換えやすい

デメリット

• 走行距離や車の状態によっては、追加費用が発生する可能性がある
• 契約期間中の解約が難しい場合がある
• 最終的に車の所有権を得られない場合がある

残クレの経理処理におけるよくある質問と回答

残クレの経理処理に関して、よくある質問とその回答をまとめました。

Q1: 残クレで購入した営業車の保険料はどのように処理すればよいですか？

A1: 営業車の保険料は、損害保険料として費用計上します。保険期間に応じて、月割りで費用配分するのが一般的です。

Q2: 営業車の修繕費はどのように処理すればよいですか？

A2: 営業車の修繕費は、原則として修繕費として費用計上します。ただし、車の価値を高めるような大規模な修繕（資本的支出）は、資産計上し、減価償却を行います。

Q3: 残クレの契約期間中に営業車を売却した場合の会計処理は？

A3: 契約期間中に売却した場合、売却代金と帳簿価額との差額を損益として処理します。また、未払金についても、残債務を確定し、処理する必要があります。

Q4: 残クレのリース料と減価償却費の違いは何ですか？

A4: 残クレは、車の所有権が最終的に購入者に移転する可能性があるため、減価償却を行います。一方、リースは、車の所有権がリース会社にあるため、リース料を費用計上します。

Q5: 残クレの経理処理で、特に注意すべき点は何ですか？

A5: 残クレでは、残価設定が重要です。残価が適正に設定されているか、契約内容をよく確認し、将来的な会計処理に影響がないか注意が必要です。また、税務上の取り扱いについても、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

まとめ

この記事では、営業車を残価設定型ローン（残クレ）で購入した場合の経理処理について、基礎から応用まで詳しく解説しました。残クレは、月々の支払額を抑えることができる一方で、会計処理や税務上の注意点も多くあります。この記事で解説した内容を参考に、自社の状況に合った適切な会計処理を行い、税務リスクを回避しましょう。不明な点や不安な点がある場合は、専門家である税理士や会計士に相談することをお勧めします。

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