アルバイトから正社員登用後の勤務時間変更と賞与支給に関するQ&A
アルバイトから正社員登用後の勤務時間変更と賞与支給に関するQ&A
1. 勤務時間変更は不利益変更にあたるのか？
ご質問にある状況、アルバイトから正社員登用後、勤務時間変更の申し出があり、それを拒否した結果、賞与が支給されないと言われた件について、不利益変更に該当する可能性が高いと言えます。
労働契約法第16条では、使用者が労働条件を変更する場合、労働者の同意が必要とされています。 今回のケースでは、勤務時間という重要な労働条件の変更について、事前に合意が得られていません。 お給料の増額と引き換えに、就業規則に記載された勤務時間以外での勤務を強要することは、労働者の同意を得たとは言えません。
就業規則に記載されている勤務時間以外での勤務を強要する場合は、新たな労働契約を締結する必要があると考えられます。 単なる「お願い」や「希望」ではなく、明確な労働条件の変更であるため、労働時間、賃金、休日、その他諸条件について、改めて合意形成を行うべきです。 今回のケースでは、時間外労働に対する賃金が明確にされていない点も問題です。
さらに、賞与の支給を勤務時間変更への同意と結びつける行為は、労働者の権利を侵害する可能性があります。賞与は、労働契約に基づく権利であり、勤務時間変更の同意を強制する条件として利用することは、労働基準法に反する可能性があります。
2. 会社都合での退職は可能か？
状況によっては、会社都合での退職を主張できる可能性があります。
会社都合退職を認めさせるためには、以下の点を明確にする必要があります。
- パワハラや嫌がらせにあたる行為があったか： 勤務時間変更の強要や、それを拒否した後の報復的な賞与不支給は、パワハラや嫌がらせにあたる可能性があります。証拠となる記録（メール、メモなど）があれば、有利に働きます。
- 労働条件の著しい変更があったか： 今回の勤務時間変更は、労働条件の著しい変更に該当する可能性があります。 元の労働条件と比較して、労働時間の大幅な増加、休日数の減少など、労働者にとって著しい不利益が生じていることを示す必要があります。
- 会社側の対応に問題があったか： 会社側が、労働者の意見を聞き入れず、一方的に労働条件を変更しようとした点も、会社都合退職を主張する根拠となります。 交渉の経緯を記録しておくことが重要です。
これらの点を明確にすることで、会社都合での退職を主張しやすくなります。 しかし、裁判になる可能性も考慮し、弁護士などの専門家に相談することを強くお勧めします。
3. 具体的なアドバイス
まず、証拠をしっかりと集めましょう。 メール、LINEのやり取り、メモ、就業規則のコピーなど、勤務時間変更に関するやり取りや、賞与不支給の通告に関する記録をすべて保存してください。
次に、会社と交渉する前に、弁護士に相談しましょう。 弁護士は、あなたの権利を保護し、会社との交渉をサポートしてくれます。 弁護士に相談することで、不利益変更にあたるかどうかの判断、会社都合での退職の可能性、適切な対応策などを知ることができます。
交渉の際には、冷静かつ丁寧に、あなたの主張を明確に伝えましょう。 感情的な言葉は避け、事実を基に、具体的な証拠を示しながら主張することが重要です。 交渉がうまくいかない場合は、労働基準監督署への相談も検討しましょう。
4. 成功事例と専門家の視点
過去には、勤務時間変更を巡り、裁判で会社側の対応が不当と判断された事例があります。 例えば、長時間労働を強要され、健康を害した従業員が、会社都合退職を認められた事例などがあります。 これらの事例では、労働時間に関する記録、健康診断の結果、医師の診断書など、具体的な証拠が重視されました。
労働問題に詳しい弁護士によると、「労働条件の変更は、労働者の同意が不可欠です。 一方的な変更は、労働契約違反となる可能性があります。 特に、勤務時間の大幅な変更や、それに伴う不利益な処遇は、不利益変更として認められる可能性が高いです。」とのことです。
また、中小企業の場合、就業規則が整備されていないケースも多いです。 しかし、就業規則がなくても、労働契約法や労働基準法は適用されます。 就業規則がないからといって、会社が一方的に労働条件を変更できるわけではありません。
5. まとめ
あなたの状況は、不利益変更に該当する可能性が高く、会社都合での退職も検討できる可能性があります。 しかし、法的判断は複雑なため、弁護士などの専門家に相談し、適切な対応策を検討することが重要です。 証拠をしっかりと集め、冷静に、そして専門家のアドバイスを参考にしながら、今後の対応を進めてください。
早急に専門家にご相談されることを強くお勧めします。