建設業退職金共済制度と退職金受給に関するQ&A
建設業退職金共済制度と退職金受給に関するQ&A
建設業で9年間勤務後、自己都合で退職し、予想より少ない退職金（約20万円）しか受け取れなかったというご相談ですね。 70万円ほどの受給を期待されていたとのこと、ご不安な気持ちはよく分かります。 建設業退職金共済制度は複雑な部分があり、会社側の説明だけでは理解しづらい点も多いです。 このQ&Aでは、あなたの疑問を一つずつ丁寧に解説し、具体的な解決策を探っていきましょう。
① なんと70万円ほどいただける方法はないでしょうか？
残念ながら、既に退職されている場合、受給額を増やすことは困難です。 建設業退職金共済制度は、会社が共済組合に拠出する掛金によって積み立てられ、退職時に支給される制度です。 支給額は、拠出された掛金の額と、勤務期間によって決定されます。 あなたの会社が、民間工事の下請けにおいて共済制度の証紙を貼付していなかったことが、受給額が少ない原因と考えられます。
70万円という金額は、会社が正しく共済制度に拠出していた場合の想定額です。 過去に遡って拠出を促すことは、法律的に難しい場合が多いです。 ただし、会社が故意に拠出を怠っていた、もしくは不正があった場合は、労働基準監督署への相談も検討できます。
- 過去の拠出状況を確認する： まず、会社に共済組合への拠出状況に関する書類の開示を請求しましょう。 拠出が不十分であった場合、その証拠となります。
- 労働基準監督署への相談： 会社が故意に拠出を怠っていたと判断できる証拠があれば、労働基準監督署に相談し、指導を仰ぐことが可能です。
- 弁護士への相談： 複雑な法的問題となる可能性があるため、専門家である弁護士に相談することも有効です。
② 証紙の足りない分は、本当は、会社で貼らなければならないのではないでしょうか？
建設業退職金共済制度では、原則として、全ての建設工事（公共工事、民間工事問わず）に係る賃金に対して、共済掛金を拠出する必要があります。 会社が「民間工事の下請けでは元請けが証紙を貼る」と説明しているのは、誤解を招く表現です。 元請けが証紙を貼ることで、元請けの責任において共済掛金が拠出されるという意味であって、下請けの会社が拠出する義務が免除されるわけではありません。
下請け企業は、元請けから受領した報酬から、自社の従業員分の共済掛金を拠出する義務を負っています。 会社がこれを怠っていた場合、労働基準法違反に該当する可能性があります。
③ どのように会社と交渉すればよろしいでしょうか。こちらから攻めることのできる法的規則等はあるのでしょうか？
会社との交渉は、穏便に進めることが理想です。 いきなり法的措置を検討するのではなく、まずは以下の手順を踏んで交渉を進めてみましょう。
- 事実関係の確認： 会社に共済組合への拠出状況の開示を改めて請求し、事実関係を確認します。 この際、書面で請求し、受け取った書類も保管しておきましょう。
- 冷静な交渉： 確認した事実関係に基づき、不足分の拠出と、それに伴う退職金増額を冷静に交渉します。 感情的な言葉ではなく、客観的な事実と法律に基づいた主張をしましょう。 交渉の際には、必要に応じて、労働組合や弁護士の協力を得ることも検討しましょう。
- 書面での記録： 交渉の内容は必ず書面で記録しておきましょう。 メールや手紙でやり取りを行い、証拠を残すことが重要です。
もし交渉がまとまらない場合、労働基準監督署への相談や弁護士への相談を検討しましょう。 労働基準法や建設業退職金共済法に基づき、会社側に法的責任を問うことができます。 具体的な法的規則としては、労働基準法第24条（賃金の支払）や建設業退職金共済法などが挙げられます。
成功事例と専門家の視点
過去には、建設会社が共済掛金の拠出を怠り、従業員が損害を受けた事例が多数報告されています。 これらの事例では、労働基準監督署の指導や裁判を通して、会社に拠出の義務が認められ、従業員が不足分の退職金を受け取ることができました。 ただし、裁判となると時間と費用がかかることを念頭に置いておく必要があります。
弁護士などの専門家は、あなたの状況を詳しく聞き取り、適切なアドバイスとサポートを提供してくれます。 証拠となる書類をしっかりと保管し、専門家の力を借りながら、冷静に、そして粘り強く交渉を進めることが重要です。
専門家への相談は、早期に行うほど有利です。 問題が長期化すると、証拠が失われたり、記憶が曖昧になったりする可能性があります。 まずは、労働基準監督署や弁護士に相談し、今後の対応についてアドバイスを受けることをお勧めします。
まとめ
建設業退職金共済制度は複雑な制度であり、会社側の説明だけでは理解しづらい点も多いです。 しかし、権利を主張することは可能です。 冷静に事実関係を確認し、必要に応じて専門家の力を借りながら、適切な対応を取ることが重要です。 諦めずに、あなたの権利を守るために積極的に行動しましょう。
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