看護師とOTAの兼務：カルテ記載と業務範囲の整理
看護師とOTAの兼務：カルテ記載と業務範囲の整理
看護師として勤務しながらOTA資格も保有しているにも関わらず、カルテへの記録やサインを禁止され、担当患者を持たせてもらえないという状況、非常に困惑されると思います。この問題は、医療機関における役割分担とOTAの業務範囲、そして医療報酬制度の複雑な絡み合いから生じている可能性が高いです。本記事では、この問題を多角的に分析し、具体的な解決策や今後のキャリアプランについてご提案します。
1. カルテ記載とサインに関する問題
師長からの指示「カルテへの記録やサインはしないでください」は、一見不可解に思えますが、医療法や各医療機関の内部規定に則った対応である可能性があります。 看護師とOTAはそれぞれ異なる職能を持ち、業務範囲も明確に区別されています。看護師は看護業務、OTAは作業療法業務を担います。カルテへの記載は、その業務内容と責任範囲に密接に関連しています。
例えば、看護師が行ったバイタルチェックや投薬、患者の状態変化などは看護師が記録し、責任を負います。一方、OTAが行った作業療法の内容、目標設定、評価などはOTAが記録する必要があります。異なる職種が同じカルテに記録を行うと、責任の所在が曖昧になり、医療事故発生時の責任追及が複雑になるため、多くの医療機関では明確な役割分担と記録方法を定めています。
- 解決策：医療機関の規定を確認し、看護師とOTAそれぞれのカルテへの記録方法、責任範囲を明確に理解しましょう。もし規定が曖昧であれば、師長や人事部、あるいは医療安全管理室などに確認し、明確な指示を求めることが重要です。記録方法に関する研修に参加するのも有効です。
2. 担当患者を持たせてもらえない問題
看護師として勤務しているにも関わらず、担当患者を持たせてもらえないという点は、医療機関の体制や人員配置に問題がある可能性があります。OTA資格の取得を依頼された経緯から、医療機関はOTAとしての業務を期待していると考えられます。しかし、看護師としての役割とOTAとしての役割を同時に十分に果たせるだけの体制が整っていない可能性があります。
これは、人員不足や業務分担の明確化不足といった組織的な問題が背景にある可能性が高いです。OTAとして作業療法を行いながら、看護師としての業務も並行して行うことは、時間的にも精神的にも大きな負担となります。安全な医療を提供するためには、適切な人員配置と業務分担が不可欠です。
- 解決策：師長と面談し、現状の課題と不安を具体的に伝えましょう。看護師としての業務とOTAとしての業務のバランス、人員配置の問題点などを明確に指摘し、改善策を共に検討することが重要です。必要であれば、人事部や病院長にも相談することを検討しましょう。
3. 作業療法点数とOTAとしての業務
師長の発言「作業療法の点数をもらうためには、あなたはOTAとして働いてもらう必要がある」は、医療報酬制度に関連しています。医療機関は、提供した医療サービスに対して保険点数を受け取りますが、作業療法もその対象となります。OTAとして作業療法を行い、適切な記録を残すことで、医療機関は作業療法に関する点数を得ることができます。
しかし、これはOTAを単なる点数稼ぎの手段として利用していると解釈することもできます。OTAの資格取得を依頼した時点で、医療機関はOTAとしての業務を期待していたはずです。しかし、看護師としての業務を制限しながら、OTAとしての業務のみを強いるのは、OTAの専門性を活かしきれていないだけでなく、労働条件の問題にも発展する可能性があります。
- 解決策：OTAとしての業務内容と時間、看護師としての業務とのバランスについて、明確な契約を結びましょう。業務内容、時間、報酬などを具体的に記載した文書を作成し、師長と合意を得ることが重要です。労働条件に問題がある場合は、労働基準監督署などに相談することも検討しましょう。
4. 成功事例と専門家の視点
ある病院では、看護師とOTAの兼務体制において、タイムマネジメント研修と明確な業務分担マニュアルを作成することで、両方の業務を効率的に行える体制を構築しました。研修では、優先順位付けや時間管理スキル、業務効率化のためのツール活用などを学びました。マニュアルでは、看護師とOTAそれぞれの業務範囲、カルテ記載方法、連携方法などが明確に記載されています。この結果、患者への質の高いケアを提供しながら、医療機関の収益向上にも貢献することに成功しました。
医療法務に詳しい弁護士の意見では、「医療機関は、従業員に適切な業務指示を行い、労働条件を遵守する義務があります。OTA資格取得を依頼したにもかかわらず、看護師としての業務を制限し、OTAとしての業務のみを強いるのは、労働契約違反に当たる可能性があります。」とのことです。
5. 今後のキャリアプラン
現状の状況が改善しない場合は、転職も視野に入れるべきです。看護師とOTAの両方の資格を活かせる職場、あるいはどちらかの専門性を活かせる職場を探すことが重要です。転職活動においては、自分のキャリアビジョンを明確に持ち、それに合った職場を選ぶことが大切です。転職エージェントなどを利用して、自分に合った職場を見つけるサポートを受けるのも有効です。
自身のスキルと経験を最大限に活かせる職場環境を自ら選択することで、よりやりがいのある仕事、そして充実したキャリアを築くことができます。自身の権利と労働条件をしっかりと理解し、適切な対応をとることが、今後のキャリアプランにおいて非常に重要です。
最後に、自身の健康とメンタルヘルスにも気を配りましょう。ストレスを感じた場合は、同僚や上司、あるいは専門機関に相談することをお勧めします。一人で抱え込まず、周囲のサポートを活用することが重要です。