航海機関士と外国人航海機関士の仕事内容
航海機関士と外国人航海機関士の仕事内容
航海機関士は、船舶の機関部（エンジンルーム）において、船舶の動力装置や各種機器の運転、保守、修理を行う専門職です。船舶の心臓部と言える機関部を管理し、安全な航海を支える重要な役割を担っています。航海士が船の航路や操船を担当するのに対し、航海機関士は船舶の機械設備を管理・運用する点が大きな違いです。
外国人航海機関士、特にフィリピン人や中国人の航海機関士が多く乗船しているのは、人材不足とコストの両面が大きく関係しています。日本人の航海機関士の数は減少傾向にあり、需要に対して供給が追いついていない状況です。そのため、国際的な人材市場から優秀な外国人航海機関士を採用することで、船社の運航を維持しています。フィリピンや中国では、優秀な航海機関士養成機関が多く、英語や日本語の習得にも熱心な人材が多いことも、採用理由の一つです。
外国人航海機関士の役割分担
日本人航海機関士と外国人航海機関士の役割分担は、必ずしも明確に区別されているわけではありません。能力と経験に基づいて、役割が割り当てられます。ただし、言語の壁や文化の違いを考慮し、日本人航海機関士がリーダーシップを取り、チーム全体を統率することが多いです。
- 日本人航海機関士：チームリーダーシップ、複雑な修理、安全管理、技術指導など
- 外国人航海機関士：機関部機器の運転、保守、日常点検など
近年では、英語によるコミュニケーション能力の向上や、国際的な資格の取得を推進することで、日本人と外国人乗組員間の連携強化が進められています。多様な人材が協力することで、より安全で効率的な船舶運航を実現しています。
勤務状況と月収
航海機関士の勤務状況は、乗船する船の種類や航路によって大きく異なります。特に、国際航海を行う船舶では、数ヶ月間の乗船期間と数ヶ月間の休暇期間を繰り返すローテーション勤務が一般的です。
国際航海船の勤務状況
国際航海船の場合、乗船期間中は、基本的に船上で生活することになります。勤務時間は不規則で、24時間体制で機関部の監視やメンテナンスを行う必要があります。休日は限られており、長期間にわたる単調な生活は、精神的な負担となる可能性もあります。しかし、乗船期間中は、ほぼ毎日勤務となるため、給与は高額になる傾向があります。
国内フェリーとの比較
国内フェリーでは、国際航海船と比較して乗船期間が短く、帰港後の休息時間も十分に確保できます。勤務時間も比較的規則正しく、生活リズムを整えやすいというメリットがあります。しかし、給与は国際航海船と比較すると低い傾向にあります。
月収について
航海機関士の月収は、経験、資格、船種、航路、会社などによって大きく変動します。国際航海船の乗船期間中の月収は、数ヶ月にわたる勤務を考慮し、高額に設定されていることが多いです。一方、国内フェリーの航海機関士の月収は、国際航海船よりも低くなる傾向があります。具体的な金額は、企業や個人の状況によって異なるため、求人情報などを確認する必要があります。
例：経験豊富な国際航海船の航海機関士の場合、月収は100万円を超えることもあります。一方、国内フェリーの航海機関士の場合、月収は50万円前後となるケースが多いです。
数ヶ月乗船、数ヶ月休暇の給与体系
数ヶ月乗船し、数ヶ月休暇を取るタイプの勤務体系では、乗船期間中の給与が高めに設定されていることが一般的です。これは、長期間にわたる離島生活や不規則な勤務、家族との離別などを考慮したものです。乗船期間中は、ほぼ毎日勤務となるため、通常よりも高い時給換算となる場合が多いです。
休暇期間中は、給与は支給されませんが、休暇手当やボーナスなどで補填されるケースもあります。また、会社によっては、乗船期間中の生活費や医療費などを負担してくれる場合もあります。具体的な給与体系は、各企業によって異なるため、事前に確認することが重要です。
成功事例
ある国際海運会社では、外国人航海機関士の採用を積極的に行い、人材不足問題を解消しました。多様な人材の採用により、国際的な視点を取り入れることができ、安全運航体制の強化に繋がったと報告しています。また、日本人航海機関士の育成にも力を入れており、若手育成プログラムなどを実施することで、将来的な人材不足への対策にも取り組んでいます。
専門家の視点
航海機関士の採用を専門とするヘッドハンターA氏によると、「近年、航海機関士の需要は増加傾向にあり、特に国際航海船では人材不足が深刻です。そのため、高い給与や充実した福利厚生などを提供することで、優秀な人材の確保に力を入れている企業が増えています。また、多様な人材を採用することで、企業の国際競争力向上にも繋がると考えています。」とのことです。
具体的なアドバイス
航海機関士を目指す方へのアドバイスです。
- 必要な資格を取得する：航海機関士になるには、国家資格である航海士免許が必要です。資格取得には、専門学校や大学での学習が必要です。
- 英語力向上：国際航海船では、英語でのコミュニケーション能力が求められます。TOEICなどの資格取得を目指しましょう。
- 経験を積む：経験を積むことで、給与や待遇が向上します。国内フェリーなどからキャリアをスタートし、徐々に国際航海船へステップアップするのも良い方法です。
- 企業研究：企業によって、勤務条件や給与体系などが大きく異なります。複数の企業の情報を比較し、自分に合った企業を選びましょう。
航海機関士は、責任感と高い専門知識が求められる仕事ですが、やりがいのある仕事でもあります。国際的な活躍をしたい方、高度な技術を身につけたい方にとって、魅力的な職業と言えるでしょう。