派遣社員の給与と偽装請負に関する相談：労働基準監督署への相談前に知っておきたいこと
派遣社員の給与と偽装請負に関する相談：労働基準監督署への相談前に知っておきたいこと
給与に関する問題：書面提示額と実際支給額の差額について
まず、給与に関する問題です。書面で月30万円と提示されながら、実際には月26万円しか支給されていないとのこと。これは非常に重要な問題です。労働基準法では、賃金に関する事項は書面で明示することが義務付けられています（労働基準法第15条）。この場合、雇用契約書に月30万円と記載されているにも関わらず、実際には26万円しか支払われていないのであれば、賃金未払いの可能性が高いと言えます。
雇用契約書の内容と実際の給与に相違がある場合、会社側に支払いの義務があると判断される可能性が高いです。ただし、契約書に記載されている内容が、本当に月30万円の支給を約束する内容であるか、具体的な根拠（例えば、残業代や手当の明細など）を明確にする必要があります。契約書の内容、支給明細書、給与計算書などを証拠として提示することで、労働基準監督署での相談がスムーズに進みます。
- 証拠となる書類を全て保管しましょう。給与明細、雇用契約書、メールのやり取りなど、全てが重要な証拠となります。
- 労働基準監督署に相談する前に、会社側に改善を求める内容証明郵便を送付することを検討しましょう。これは、交渉の記録を残す上で有効な手段です。
- 弁護士に相談することも有効です。弁護士は、あなたの権利を擁護し、会社との交渉をサポートしてくれます。
成功事例：過去には、同様のケースで、労働基準監督署の指導により、会社が未払い賃金を支払った事例が多数あります。ただし、裁判に発展する可能性も考慮し、証拠をしっかり確保することが重要です。
偽装請負に関する問題：業務内容と契約形態の不一致について
次に、偽装請負の可能性についてです。会社との契約が業務請負契約でありながら、実際には派遣先の社員から指示を受けて仕事をしているとのこと。これは、偽装請負に該当する可能性が高いと言えます。
偽装請負とは、労働者として働く実態がありながら、請負契約という形をとることで、労働基準法上の保護を受けにくくする違法行為です。派遣先の社員から指示を受けて仕事をしているという状況は、典型的な偽装請負の証拠となります。業務内容、指示系統、責任の所在などを詳細に記録し、証拠として残しておくことが重要です。
偽装請負と判断された場合、会社は労働者としての扱いをし、労働基準法に基づいた保護（最低賃金、残業代、社会保険など）を行う義務を負います。
- 日々の業務内容を詳細に記録しましょう。誰から指示を受けたか、どのような内容の指示だったか、などを具体的に記録します。
- メールやチャットの履歴なども重要な証拠となります。これらの記録を保存しておきましょう。
- 派遣先企業との関係性についても記録しておきましょう。例えば、直接的な指示や連絡があった場合、その内容を詳細に記録します。
専門家の視点：労働問題に詳しい弁護士や社会保険労務士に相談することで、より正確な判断と適切な対応策を得ることができます。彼らは、偽装請負の有無を判断する上で重要な法的根拠や判例を熟知しており、あなたの状況に合わせたアドバイスをしてくれます。
労働基準監督署への相談：具体的な手順と注意点
労働基準監督署への相談は、書面で相談内容をまとめ、証拠となる資料を添付して行うのが一般的です。相談窓口で相談内容を丁寧に説明し、証拠となる資料を提示することで、よりスムーズな対応が期待できます。相談は無料で行うことができます。
- 相談前に、相談内容を整理し、箇条書きでまとめておきましょう。
- 証拠となる資料（雇用契約書、給与明細、メールのやり取りなど）を全て持参しましょう。
- 相談日時を予約するなど、事前に準備をしておきましょう。
注意点：労働基準監督署は、あなたの代わりに会社と交渉したり、訴訟を起こしたりすることはありません。しかし、監督署の指導によって、会社が改善措置をとるケースは多くあります。また、監督署の調査結果に基づき、必要に応じて弁護士などの専門家に相談することも可能です。
まとめ：権利を主張するために必要なこと
今回のケースでは、賃金未払いと偽装請負の疑いが強くあります。まずは、証拠となる書類をしっかり保管し、労働基準監督署への相談を検討しましょう。必要に応じて、弁護士や社会保険労務士に相談し、専門家のアドバイスを受けることも有効です。あなたの権利を守るため、積極的に行動を起こすことが重要です。諦めずに、一歩ずつ進んでいきましょう。