59歳自営業、追突事故による後遺症…慰謝料と遺失利益はどうなる？専門家が徹底解説
59歳自営業、追突事故による後遺症…慰謝料と遺失利益はどうなる？専門家が徹底解説
この記事では、交通事故による後遺症で悩む59歳の自営業者の方に向けて、慰謝料や遺失利益の計算方法、そして今後の働き方について、具体的なアドバイスを提供します。交通事故後の手続きは複雑で、特に自営業者の場合は、収入の証明や損害賠償の計算が難しくなることがあります。この記事を読むことで、あなたは自身の状況を正しく理解し、適切な対応を取るための知識を得ることができます。
今回の相談内容は以下の通りです。
今年の2月に追突されて当方過失0です。本日、後遺症害14級9号と認定されました。
そこで 質問です。
当方 59歳 男性。自営業。ここ3年ほど 赤字なので確定申告をしておりません。
総治療期間217日、入院0、通院実日数173日
治療費 1,636,283(払込済)、通院交通費 105,890(払込済)
慰謝料 704,700+70,500(上乗せ)
最終支払 当方 790,980を頂いております。
後遺症害については これからですが なにぶん申告をしていないので 遺失利益は どう計算をしてくるのでしょうか？そして後遺症害慰謝料はどのくらいが妥当ですか？
よろしくお願いいたします。
1. 遺失利益の計算：赤字申告の場合の注意点
まず、遺失利益について解説します。遺失利益とは、交通事故によって後遺症を負ったことで、将来的に得られるはずだった収入が減少することによって生じる損害のことです。この遺失利益を計算するためには、事故前の収入を基準とすることが一般的です。しかし、今回の相談者のように、過去3年間赤字で確定申告をしていない場合、どのように計算するのでしょうか？
1-1. 遺失利益の基本的な計算方法
遺失利益は、以下の計算式で求められます。
- 遺失利益 = （事故前の収入 – 事故後の収入）× 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
この計算式において、事故前の収入は、原則として事故前の1年間の収入を基準とします。しかし、自営業者の場合、収入が変動しやすいため、過去数年間の収入を平均して計算することもあります。事故後の収入は、後遺症の影響でどの程度収入が減少するかを評価して算出します。労働能力喪失率は、後遺症の程度に応じて決定され、後遺障害等級によって定められています。労働能力喪失期間は、原則として症状固定から67歳までの期間とされます。
1-2. 赤字申告の場合の遺失利益の計算
赤字申告の場合、遺失利益の計算は非常に複雑になります。なぜなら、赤字ということは、事業収入よりも経費の方が多く、所得がない状態だからです。この場合、以下の方法が検討されます。
- 青色申告特別控除前の所得を基準とする： 青色申告をしている場合、青色申告特別控除前の所得を基準として遺失利益を計算することがあります。
- 平均所得を参考にする： 過去の収入や同業者の平均所得を参考に、遺失利益を計算することがあります。
- 生活費を基準とする： 生活費を基準として遺失利益を計算することもあります。これは、赤字であっても、生活のために一定の収入が必要であるという考え方に基づいています。
いずれの方法も、客観的な資料や証拠に基づいて、合理的に計算する必要があります。弁護士や専門家と相談し、適切な方法を選択することが重要です。
1-3. 遺失利益に関する注意点
遺失利益を請求する際には、以下の点に注意が必要です。
- 収入の証明： 過去の収入を証明するために、確定申告書や帳簿、銀行の通帳などの資料を準備する必要があります。赤字申告の場合でも、収入があったことを証明できる資料があれば、遺失利益を請求できる可能性があります。
- 専門家への相談： 遺失利益の計算は複雑であるため、弁護士や税理士などの専門家に相談することをお勧めします。専門家は、あなたの状況に合わせて、最適な計算方法を提案し、適切なアドバイスをしてくれます。
- 保険会社との交渉： 保険会社との交渉は、専門家を交えて行うことが望ましいです。専門家は、あなたの権利を最大限に守り、適切な賠償額を勝ち取るために、交渉をサポートしてくれます。
2. 後遺障害慰謝料の相場：14級9号の場合
次に、後遺障害慰謝料について解説します。後遺障害慰謝料とは、交通事故によって後遺症を負ったことに対する精神的な苦痛に対して支払われる慰謝料のことです。後遺障害の等級によって、慰謝料の金額は異なります。今回の相談者は、後遺障害14級9号と認定されています。
2-1. 後遺障害等級と慰謝料の相場
後遺障害慰謝料の金額は、自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準の3つの基準で異なります。一般的に、弁護士基準が最も高額になります。
- 自賠責保険基準： 14級9号の場合、32万円
- 任意保険基準： 保険会社が独自に定める基準であり、公開されていませんが、自賠責保険基準よりやや高額になる傾向があります。
- 弁護士基準（裁判基準）： 14級9号の場合、110万円
今回の相談者の場合、弁護士に依頼して交渉することで、弁護士基準に近い金額の慰謝料を請求できる可能性があります。
2-2. 後遺障害慰謝料の増額要素
後遺障害慰謝料は、後遺障害の程度だけでなく、事故の状況や被害者の置かれた状況などによって増額されることがあります。例えば、以下のような要素が考慮されます。
- 事故の態様： 事故の過失割合や、事故の衝撃の大きさなど。
- 治療期間： 治療期間が長かった場合。
- 通院回数： 通院回数が多かった場合。
- 精神的な苦痛： 後遺症による精神的な苦痛の程度。
- 生活への影響： 後遺症によって日常生活や仕事に支障が出ている場合。
これらの要素を考慮して、弁護士は慰謝料の増額を交渉します。
2-3. 後遺障害慰謝料に関する注意点
後遺障害慰謝料を請求する際には、以下の点に注意が必要です。
- 後遺障害診断書の取得： 医師に後遺障害診断書を作成してもらい、後遺障害の程度を明確にすることが重要です。
- 専門家への相談： 弁護士に相談し、適切な慰謝料の金額や請求方法についてアドバイスを受けることが重要です。
- 保険会社との交渉： 保険会社との交渉は、弁護士に依頼することで、有利に進めることができます。
3. 事故後の働き方：自営業者の場合
交通事故によって後遺症を負った場合、今後の働き方について考える必要があります。特に自営業者の場合、収入が不安定になりやすいため、慎重な検討が必要です。
3-1. 労働能力の低下への対応
後遺症によって労働能力が低下した場合、以下のような対応が考えられます。
- 業務内容の見直し： 身体的な負担が少ない業務内容に変更する。
- 労働時間の調整： 労働時間を短縮する、または休憩時間を増やす。
- 業務委託： 一部の業務を他の人に委託する。
- 補助具の利用： 身体的な負担を軽減するための補助具を利用する。
3-2. 収入の確保
収入を確保するために、以下のような対策を検討しましょう。
- 損害賠償請求： 遺失利益や慰謝料を請求し、収入の減少を補填する。
- 傷病手当金： 労災保険や健康保険から傷病手当金を受給する。
- 障害年金： 障害年金の受給を検討する。
- 副業： 本業に支障がない範囲で、副業を始める。
3-3. 精神的なサポート
後遺症を抱えながら働くことは、精神的な負担も大きくなります。以下のようなサポートを活用しましょう。
- カウンセリング： 専門家によるカウンセリングを受け、精神的なケアを行う。
- 家族や友人との相談： 悩みや不安を家族や友人に相談する。
- 自助グループへの参加： 同じような境遇の人たちと交流し、情報交換や励まし合う。
3-4. 働き方の選択肢
自営業を継続することが難しい場合は、以下のような働き方も検討できます。
- 転職： 身体的な負担が少ない職種に転職する。
- 再就職： 企業に再就職する。
- 在宅ワーク： 在宅でできる仕事を探す。
- 起業： 新たな事業を始める。
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4. 専門家への相談とサポート
交通事故後の手続きや、今後の働き方について、一人で悩まずに専門家に相談することが重要です。弁護士、税理士、社会保険労務士など、それぞれの専門家が、あなたの状況に合わせて、適切なアドバイスとサポートを提供してくれます。
4-1. 弁護士への相談
交通事故に関する損害賠償請求は、弁護士に相談することをお勧めします。弁護士は、あなたの権利を最大限に守り、適切な賠償額を勝ち取るために、交渉をサポートしてくれます。また、後遺障害の等級認定についても、弁護士がサポートしてくれます。
4-2. 税理士への相談
遺失利益の計算や、確定申告に関する疑問は、税理士に相談しましょう。税理士は、あなたの収入状況に合わせて、適切な計算方法を提案し、確定申告をサポートしてくれます。
4-3. 社会保険労務士への相談
傷病手当金や障害年金に関する手続きは、社会保険労務士に相談しましょう。社会保険労務士は、あなたの状況に合わせて、適切な手続きをサポートしてくれます。
4-4. キャリアコンサルタントへの相談
今後の働き方について悩んでいる場合は、キャリアコンサルタントに相談しましょう。キャリアコンサルタントは、あなたの経験やスキル、希望に合わせて、最適な働き方を提案してくれます。
5. まとめ：事故後の生活とキャリアを再構築するために
今回の相談者の方の状況を踏まえ、交通事故後の慰謝料や遺失利益、そして今後の働き方について解説しました。以下に、重要なポイントをまとめます。
- 遺失利益の計算： 赤字申告の場合でも、諦めずに専門家と相談し、適切な計算方法で遺失利益を請求しましょう。
- 後遺障害慰謝料： 14級9号の場合、弁護士基準での慰謝料を請求することを検討しましょう。
- 働き方の検討： 労働能力の低下に対応し、収入を確保するための対策を講じましょう。
- 専門家への相談： 弁護士、税理士、社会保険労務士、キャリアコンサルタントなど、それぞれの専門家に相談し、サポートを受けましょう。
交通事故後の生活は、様々な困難を伴います。しかし、適切な知識とサポートを得ることで、必ず乗り越えることができます。諦めずに、前向きに未来を切り開いていきましょう。
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