源泉所得税の納付漏れ…焦らない！状況別の正しい対応と、今すぐできる対策を徹底解説

この記事では、源泉所得税の納付に関するお悩みを抱えるあなたに向けて、具体的な解決策と、今後の対策を提示します。特に、顧問報酬の源泉徴収に関する納付漏れという、複雑な状況に焦点を当て、税務処理の基本から、具体的な対応策、そして再発防止策までを、わかりやすく解説します。税務に関する知識は、専門用語が多くて難解に感じがちですが、この記事を読めば、あなたもきっと理解を深め、自信を持って対応できるようになるはずです。

源泉所得税を遅れて納付する場合について質問です。

納期の特例を受けており、1～6月の給与からの源泉徴収分は24年7月10日までに納めたのですが、顧問報酬の源泉徴収分を納め忘れていたことがわかりました。

しかもややこしいことに、顧問契約は5月からなのですが

5月は源泉徴収自体もできておらず、

6月は源泉徴収はしていますが、納付漏れとなっています。

質問は次の３点です。

（１）5月分の源泉所得税は今月12月の支払時に天引きするという処理は可能ですか？（先方は了承済みです）

　　　またその場合、納付は後期分と合わせて25年1月10日までに納めればよいですか？

（２）前期の納付漏れ分についてはどのような手続きで納税すればよいですか。

（３）延滞税はどのようにかかりますか？

（４）その際の仕訳についても教えてください。

恥ずかしながら素人の質問で大変恐縮ですが、宜しくお願い致します。補足顧問契約は社外の個人の方でコンサルティング料として報酬を支払っています。先方から源泉徴収してほしいと言われ、6月から源泉徴収を始めたようです。

1. 源泉所得税の基本を理解する

源泉所得税とは、給与や報酬を支払う際に、支払者が所得税をあらかじめ差し引き、国に納付する制度のことです。この制度の目的は、所得税の徴収を確実に行い、納税者の負担を軽減することにあります。源泉徴収の対象となる所得には、給与、退職金、利子所得、配当所得など様々なものがありますが、今回のケースでは、顧問料という報酬が対象となります。

源泉徴収義務者は、原則として、給与や報酬を支払う事業者です。つまり、あなた（またはあなたの会社）が顧問料を支払う立場であれば、源泉徴収義務を負います。源泉徴収した所得税は、原則として、翌月の10日までに税務署に納付する必要があります。ただし、従業員が常時10人未満の事業者は、「源泉所得税の納期の特例」を受けることができ、年2回（1月から6月分は7月10日、7月から12月分は翌年1月20日）の納付で済ませることができます。今回のケースでは、この納期の特例を受けていることが前提となっています。

2. 状況整理：何が問題なのか？

今回のケースで問題となっているのは、以下の2点です。

5月分の顧問料に対する源泉徴収漏れ
6月分の顧問料に対する源泉徴収は行ったものの、納付漏れ

これらの問題は、税務署からの指摘や、延滞税の発生につながる可能性があります。また、税務調査が入った場合、これらのミスは、会社のコンプライアンス体制に対する評価を低下させる要因ともなり得ます。

3. 5月分の源泉所得税の処理

5月分の源泉所得税については、顧問先の方の了承が得られているのであれば、12月の支払時に天引きするという処理は可能です。ただし、この場合、12月分の顧問料から5月分と6月分の源泉所得税をまとめて天引きし、翌年1月10日（納期の特例を受けている場合）までに納付することになります。

具体的な計算方法としては、まず、5月分の顧問料に対する源泉所得税額を計算します。次に、6月分の顧問料に対する源泉所得税額を計算します。そして、これらの金額を合計し、12月分の顧問料から天引きします。この際、顧問先の方には、源泉徴収額の内訳を明確に伝え、誤解のないようにすることが重要です。

4. 前期の納付漏れ分の対応

前期（6月分）の納付漏れ分については、速やかに「源泉所得税の納付書」を使用して、税務署に納付する必要があります。納付書には、納付すべき税額、納付する期間、そして延滞税額を記載します。延滞税の計算方法については、次項で詳しく解説します。

納付書は、税務署の窓口で入手できるほか、国税庁のウェブサイトからダウンロードすることも可能です。納付方法は、税務署の窓口での現金納付、銀行振込、e-Tax（電子納税）などがあります。e-Taxを利用すれば、自宅やオフィスから簡単に納税手続きを行うことができます。

5. 延滞税の計算と注意点

延滞税とは、税金の納付が遅れた場合に課される税金です。延滞税は、納付が遅れた日数に応じて計算され、その税率は、期間によって異なります。延滞税の計算方法は、以下の通りです。

納期限の翌日から2ヶ月以内：年7.3%（令和6年1月1日～）
納期限から2ヶ月を経過した後：年14.6%（令和6年1月1日～）

今回のケースでは、6月分の源泉所得税の納付が遅れたため、延滞税が発生します。延滞税額は、未納付の源泉所得税額、納付が遅れた日数、そして上記の税率に基づいて計算されます。具体的な計算例を以下に示します。

例：6月分の源泉所得税額が10,000円、納付期限から3ヶ月遅れて納付した場合

納期限の翌日から2ヶ月以内の延滞税：10,000円 × 7.3% × (30日+30日) / 365日 = 約24円
納期限から2ヶ月を経過した後の延滞税：10,000円 × 14.6% × 30日 / 365日 = 約120円
合計延滞税額：約24円 + 約120円 = 約144円

このように、延滞税は、納付が遅れるほど金額が大きくなります。したがって、納付漏れに気づいたら、速やかに納付手続きを行うことが重要です。

6. 仕訳の例

源泉所得税の未納付に関する仕訳は、以下のようになります。ここでは、5月分と6月分の源泉所得税をまとめて処理する場合の例を示します。

（1）5月分の源泉所得税（未払い分）の計上（12月支払時）

借方：支払報酬（顧問料）　XXX円
貸方：未払源泉所得税　XXX円
貸方：普通預金　XXX円

（2）6月分の源泉所得税（未納付分）の計上

借方：支払報酬（顧問料）　XXX円
貸方：未払源泉所得税　XXX円
貸方：普通預金　XXX円

（3）源泉所得税の納付（翌年1月10日）

借方：未払源泉所得税　XXX円
貸方：普通預金　XXX円

（4）延滞税の計上と納付

借方：租税公課　XXX円
貸方：未払金　XXX円

借方：未払金　XXX円
貸方：普通預金　XXX円

これらの仕訳はあくまで一例であり、会社の会計処理方法や、税理士との契約内容によって異なる場合があります。税理士に相談し、適切な仕訳処理を行うようにしましょう。

7. 再発防止策：今すぐできること

今回の納付漏れを教訓に、今後の再発防止策を講じることが重要です。以下に、今すぐできる対策をいくつかご紹介します。

税務カレンダーの作成：源泉所得税の納付期限を記載した税務カレンダーを作成し、常に確認できるようにします。
会計ソフトの活用：会計ソフトを利用することで、源泉所得税の計算や納付漏れを防止することができます。多くの会計ソフトには、源泉所得税の計算機能や、納付期限のリマインダー機能が搭載されています。
税理士への相談：税理士に顧問を依頼することで、税務に関する専門的なアドバイスを受けることができます。税理士は、あなたの会社の状況に合わせて、適切な税務処理をサポートしてくれます。
定期的なチェック体制の構築：毎月、源泉徴収の対象となる報酬の支払状況を確認し、源泉所得税の計算と納付状況をチェックする体制を構築します。
従業員への周知徹底：源泉徴収に関する社内ルールを明確にし、従業員に周知徹底することで、誤りを防ぐことができます。

これらの対策を講じることで、税務上のリスクを軽減し、安心して事業を運営することができます。

8. 専門家への相談も検討しましょう

源泉所得税に関する問題は、複雑で専門的な知識を必要とします。この記事を読んでも、まだ不安が残る場合や、具体的な対応方法について迷う場合は、税理士や税務署に相談することをおすすめします。専門家は、あなたの状況に合わせて、最適なアドバイスをしてくれます。

税理士に相談するメリットは、以下の通りです。

専門的な知識：税理士は、税務に関する専門的な知識を持っており、あなたの疑問に的確に答えてくれます。
正確な対応：税理士は、税法の改正や、最新の税務情報を把握しており、正確な対応をしてくれます。
税務調査対策：税理士は、税務調査に立ち会い、あなたの会社を守ってくれます。
時間と労力の節約：税理士に依頼することで、税務に関する業務にかかる時間と労力を節約できます。

税理士を探す方法は、インターネット検索、知人からの紹介、税理士紹介サービスなどがあります。複数の税理士に相談し、あなたの会社の状況に合った税理士を選ぶことが重要です。

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9. まとめ：未来への一歩を踏み出すために

源泉所得税の納付漏れは、誰にでも起こりうるミスです。しかし、適切な対応と、再発防止策を講じることで、問題を解決し、同じ過ちを繰り返さないようにすることができます。この記事で解説した内容を参考に、今すぐできる対策を実践し、税務に関する知識を深めましょう。そして、もし不安なことがあれば、専門家に相談し、安心して事業を運営できる体制を整えましょう。未来への一歩は、あなたの正しい知識と行動から始まります。

10. よくある質問（FAQ）

源泉所得税に関するよくある質問とその回答をまとめました。疑問を解消し、理解を深めるためにご活用ください。

Q1：源泉所得税の納付期限を過ぎてしまった場合、どうすれば良いですか？

A：速やかに税務署に連絡し、未納付の源泉所得税を納付してください。また、延滞税が発生しますので、その金額も合わせて納付する必要があります。

Q2：源泉所得税の納付を忘れていた場合、税務署から連絡はきますか？

A：税務署は、定期的に税務調査を実施しており、納付状況を確認しています。納付漏れが発覚した場合、税務署から連絡がくる可能性があります。

Q3：源泉所得税の計算方法がわかりません。どのように計算すれば良いですか？

A：源泉所得税の計算方法は、支払う給与や報酬の種類、金額、そして個々の状況によって異なります。国税庁のウェブサイトで、源泉所得税の計算方法に関する情報を確認することができます。また、税理士に相談することで、正確な計算方法を教えてもらうことができます。

Q4：源泉所得税の納付方法にはどのようなものがありますか？

A：源泉所得税の納付方法は、税務署の窓口での現金納付、銀行振込、e-Tax（電子納税）などがあります。e-Taxを利用すれば、自宅やオフィスから簡単に納税手続きを行うことができます。

Q5：源泉所得税の納付漏れを防ぐために、どのような対策をすれば良いですか？

A：税務カレンダーの作成、会計ソフトの活用、税理士への相談、定期的なチェック体制の構築、従業員への周知徹底など、様々な対策があります。この記事で解説した再発防止策を参考に、あなたの会社に合った対策を講じてください。

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